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Australia Perth Tour 2019 – モンテッソーリ教育レポート
Sakai English School & La Porte International School Present
Australia Perth Tour 2019
一般的なモンテッソーリ教育と、現在滞在中のPerth Individualでのモンテッソーリ教育のレポートです。
モンテッソーリ学校では、Grade(学年)という概念でのクラス分けがされるわけではなく、「Cycle」という、複数学年が塊になる縦割りでクラスが分けられていて、ここPerth Individualでもそれに沿ったクラス分けがされています。
・Cycle 1 は 3〜5才(日本でいう幼稚園)
・Cycle 2 は 小学1〜3年生
・Cycle 3 は 小学4〜6年生
・その上は High School (Grade7:中学1年〜Grade12:高校3年)
– Grade7+8、Grade9+10、Grade11+12
と分けられています。
High Schoolでは、基本的には上記の学年でクラスが分かれていますが、教科ごとに複数学年が合同になったり、教科が選択制だったりと、細かく編成されています。
モンテッソーリ教育では、「モンテッソーリ教育の5分野(領域)」が定義されています。
まずはベースのレイヤーに「日常生活の練習」があり、その上に「感覚教育(実際に手を使った作業から学ぶ)」があります。
またその感覚教育は、「言語教育」「文化教育」「(算)数教育」と派生し、その5分野を「モンテッソーリ教育の5分野(領域)」と呼んでいます。
Perth Individual は、いわゆるガチガチのモンテッソーリ学校ではなく、例えば「午前中はEnglish、午後からはMath」など、なんとなくの時間割が存在していて、その中で生徒たちが自分でやること(job:お仕事)を決めて取り組みます。
いわゆるガチガチのモンテッソーリ学校では、こういったラフな時間割も存在しません。1日中、「言語教育」「文化教育」「(算)数教育」のどれかの領域、あるいは複数の領域にまたがるモンテッソーリ教材を自分で選択し、そのjobをこなしていきます。
自分でやること(job)を決めて取り組み始めたら、大切なのはやり遂げること。
必ず最後まで、自分の力でやり遂げることが重要です。
モンテッソーリ教師は、教える人ではなく、そのジョブをやり遂げることを導く存在です。
そのために、例えば各作業のための教材は、子どもたちがやり遂げられる量でデザインされていたり、触りたくなるように可愛くカラフルにデザインされていたり、明確に置き場所を定義したりします。
(※整然と並ぶ教材の写真 )
「子どもには自己教育力があることを”信じ”、子どもがやりたがることを、大人の迷惑にならない方法で、心ゆくまでさせてあげられるように援助すること」
が重要なポイントで、大人目線を判断基準とせず、大人と子どもは違うということを理解していることが大前提です。
例えば、
「同じことばっかりする!」
↓
子どもは同じことを繰り返す必要があるんです。
「落ち着きがない!」
↓
子どもには動かなければいけない理由があるんです。
「さっさとしなさい!」
↓
子どもと大人のリズムは8倍も違うんです。
などです。
こういったことを、子どもから発信されるサイン、子どもを観察することから学び、体系立てて科学的に構築したものがモンテッソーリ教育です。
よく子どもたちが、遊んでいる最中に「やめなさい」と言われて中断させられたり、勝手に手出しをされたりすると、子どもは自尊心を傷つけられ大泣きしたりしますよね。
子どもたちは、自分で決めたjobを自分でやり遂げる必要があり、それを繰り返すことによってそのjobに含まれている様々な成長の要素を身につけていくのです。
なので、例えばそのjobが完了するまでは、仮に日をまたいででも、やりかけのjobに名札をつけておいてそのままにしておくそうです。
とにかく自分で決めた作業を全うすることに重きをおいているのです。
そのようにして、「自由選択」→「繰り返し」→「集中」→「達成感」を実現しています。
(※各Cycleの細かいグループに別れて作業をしている様子)
また、なんでもやっていいし、ある程度決められた場所であればどこでやってもいいわけですが(実際、上の写真のように、外の芝生に寝転がって作業している子も居ました)、
「その中にルールやしつけは存在しないのか?」と訪ねたところ、
1. 室内にふさわしい声で話すこと
2. 他の子のjobには(その本人からの許可がない限り)触れない
の2つだけは徹底的に守らせている、とのことでした。
ここPerth Individualでも、モンテッソーリ教育にのっとって「手伝っていい?」と許可を得ない限り、他の子のjobに触れることは最大のNGのひとつなのです。
なかなか日本の学校とは軸になる部分が違っていて興味深いです。
Perth Individual の High School の方は、モンテッソーリ教育を貫くことはどうしても難しいらしく、というのは、大学を受験していくためやいわゆる国の基準に基づく卒業資格を得るためには「テスト」を行わなければイケナイため、モンテッソーリ教育の特徴のひとつである、”一切のテストを行わない” というルールに多いに抵触せざるを得ないという事情があるようです。
ともあれ、自分で考えて自分で意見を述べるというスタイルの”考える”、そして”発信する”という授業がとても多く、なかなか日本とは違った活気を感じました。